耐空証明って何?運用限界等指定書って何?

事業用操縦士

耐空証明はその航空機が安全の基準を満たしてますよっていう証明のこと

航空法10条、11条で定められている。

耐空証明は日本の国籍を持っている航空機でなければ受けることができない。
→航空機登録証明書が絶対に必要

運用限界等指定書は耐空証明を発行したときに同時に発行される飛行機の用途と運用限界を指定するもの。

耐空証明で何を検査するの?

安全を確保するための強度、構造、性能が基準を満たしている
騒音、発動機の排出物の基準が環境性に適合している

以上の基準を満たしているかどうか航空機の設計、製造過程、現状を検査する。

適合しているなら有効期間は1年(航空法14条)である。
また基準を満たしている状態を耐空性があると表現をすることもある。

注意点

耐空証明は検査時点での安全性、環境性の基準に適合していることを証明するものである。

よって、有効期間内ずっと耐空性があることを証明するものではない。

耐空証明は航空機の用途、運用限界を指定して行うとはどういうことか

単に「この飛行機は安全です」とだけ証明するのではなく、「この飛行機は、こんな目的で、こんな範囲で使うなら安全です」という条件付きの安全性を証明する、ということを意味します。

どんな用途があるのか

航空法施行規則12条に記載があります。

航空法施行規則第12条の3

法第10条第3項(法第10条の2第2項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の航空機の用途を指定する場合は、附属書第一に規定する耐空類別を明らかにするものとする。

(航空法施行規則から引用)

ということで付属書第一は国交省のページで見ることができます。

どんな目的で使用するかということを耐空類別というもので細分化します。

飛行機については2種類に分かれています。

  • 飛行機普通N・・・最大離陸重量8,618㎏以下の飛行機であつて、客席数が19以下であるもの
  • 飛行機輸送T・・・航空運送事業の用に適する飛行機

簡単にいうとエアライン用の飛行機とそれ以外に分けますよってこと。

飛行機以外の耐空類別は

回転翼航空機、滑空機、動力滑空機があります。
回転翼航空機については「普通N」「輸送T A級」「輸送T B級」の3種類があります。
滑空機、動力滑空機についてはそれぞれ「曲技A」「実用U」があります。

いずれにも属さないものは「特殊航空機 X」に分類されます。

なぜ用途を指定するのか?

それぞれの用途によって、航空機に求められる強度や性能の基準が異なるためです。例えば、旅客機は多数の乗客を安全に運ぶための高い信頼性と冗長性が求められますが、練習機は操縦のしやすさや回復性が重視されるなど、設計思想が異なります。用途が指定されることで、その航空機が本来想定されていない危険な目的で使用されることを防ぎます。

運用限界はどのように指定するのか

飛行機の使用する目的が定められ、ではどの範囲までなら安全に運航できる最大値や最小値、または使用上の制約を示すものが必要になります。

この運用限界は「飛行規程(Flight Manual)」の中の「限界事項」の部分を国土交通省が承認した内容になります。

具体例は、最大離陸重量、最大着陸重量、制限速度、燃料温度、滑油温度、燃料搭載量などの限界事項になります。

なぜ運用限界を指定するのか?

航空機は、特定の条件下で最大限の性能を発揮し、安全を保つように設計されています。これらの限界を超えて使用すると、機体構造に過度な負荷がかかったり、設計上の性能を維持できなくなったりして、事故につながる可能性があります。運用限界を指定することで、航空機が常に設計上の安全マージン内で運用されることを保証するのです。

まとめ

耐空証明が「この飛行機は飛んでも大丈夫な状態です」と航空機の安全性を大枠で証明するのに対し、運用限界等指定書は「では、その飛行機を安全に使うためには、ここまで、こう使ってください」という具体的なガイドラインを示していると言えるでしょう。

この二つの書類が揃い、その内容が厳守されて初めて、航空機は安全に空を飛ぶことが許されるのです。

では耐空証明を受けた飛行機が基準を満たさなくなったらどうなるんでしょう。次回をお楽しみに

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