耐空証明の基準を満たさなくなったらどうなる!?

事業用操縦士

航空法14条の3に書いてあるように耐空証明のある航空機が基準に適合しないor適合しない恐れがある場合は必要な整備、改造、その他措置を命令することができる。

基準に適合しないかもしれないときやその他航空機の安全性が確保されないと認めるときは、当該航空機又は当該型式の航空機の耐空証明の効力を停止or有効期間を短縮できる。

飛行機の使用者は耐空証明を維持するために整備や修理、必要に応じて改造をしなくてはならない。

必要な修理、改造とは

耐空性を回復させるための整備や修理は、厳格なルールに基づいて行われる。

  • 有資格者による整備: 航空法 第23条により、航空機の整備を行うには、国土交通大臣の資格を持った航空整備士が担当します。
  • 整備規程の遵守: 航空法施行規則 第58条に基づき、航空機使用者はメーカーが定める整備規程に従って作業を行います。
  • 耐空性のある部品の使用: 航空法 第18条により、修理や改造には、耐空基準に適合した部品を使用しなければなりません。

軽微な修理・整備の場合

  • 定義: 航空機の強度、構造、性能に重大な影響を及ぼさないと判断される、日常的な保守や整備作業のことです。具体的な範囲は、施行規則5条の6で定められています。

重量、重心位置、強度、動力装置の機能、飛行性その他の航空機の耐空性(以下この表及び次条の表において単に「耐空性」という。)に及ぼす影響が軽微な範囲にとどまり、かつ複雑でない修理作業であつて、当該作業の確認において動力装置の作動点検その他複雑な点検を必要としないもの

  • 対応: この場合、修理改造検査を受ける必要はありません。
    • 航空法 第23条で定められた資格を持つ整備士が作業を行います。
    • 航空法 第58条(施行規則29条)で規定された航空日誌に、作業内容を詳細に記録します。
  • 耐空証明との関係: 耐空証明の有効期間中に行われる通常の整備の一環であり、これによって耐空証明が失効することはありません。 次回の耐空検査(更新時)において、航空日誌の記録が適切であるかどうかが確認されます。

2. 重大な修理・改造の場合

  • 定義: 航空機の強度、構造、性能に重大な影響を及ぼす修理や改造のことで、こちらも国土交通省令で定められています。機体の骨格部分の修理や、エンジンの換装などが該当します。
  • 対応: この場合は、修理や改造が完了した後に、修理改造検査に合格しなければなりません。
    • 航空法 第16条の3航空機の使用者又は所有者は、その航空機について、航空機の強度、構造又は性能に重大な影響を及ぼす修理又は改造で国土交通省令で定めるものを行つたときは、国土交通大臣の行う検査を受け、これに合格しなければ、当該航空機を航空の用に供してはならない。

補足(軽微な修理はなぜ修理改造検査が必要ないのか)

  • 航空法施行規則 第24条法第十七条第一項の検査を受けるべき国土交通省令で定める範囲の修理又は改造は、…(中略)…大修理又は改造…とする。

この条文は、検査が必要な修理・改造を「大修理」「改造」に限定しています。

一方、「軽微な修理」は、これらの定義から意図的に除外されています。つまり、「大修理」と定義されるような重大な作業のみが検査対象となり、「軽微な修理」は検査対象ではない、という結論になります。

  • 大修理/改造: → 航空法 第17条に基づき、修理改造検査が必要。
  • 軽微な修理: → 航空法 第17条の定める範囲外であるため、修理改造検査は不要。

まとめ

耐空証明の基準外になったときは、軽微な修理の範囲内の修理であれば、整備したののちに航空日誌に整備記録を記入し普通に航空機を使うことができます。

大修理をする場合は修理改造検査を受け合格しなくては使うことはできない。

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