試験では高頻度で機長の義務について教えてください。や機長にはどんな権限がありますか?と聞かれます。紛らわしい部分になりますのでしっかり覚えていきましょう。
航空法の引用につきましては全てこちらから引っ張ってきています。
機長の義務と権限一覧
機長の義務
- 出発前の確認(航空法73条の2)
- 拘束している人がいる時、管制期間に報告(航空法73条の4の4項)
- 危難の防止(航空法75条)
- 報告の義務(航空法76条)
- 編隊飛行前の打ち合わせ(航空法84条)
- 到着の通知(航空法98条)
機長の権限
- 航空機に乗り組んで職務を行う人の指揮監督(航空法73条)
- 拘束、安全阻害行為を抑止するための措置(航空法73条の4)
- 安全阻害行為の継続/反復を禁止する命令(航空法73条の4の5項)
- 危難の場合の措置(航空法74条)
機長の義務
出発前の確認(航空法73条の2)
機長は、国土交通省令で定めるところにより、航空機が航行に支障がないことその他運航に必要な準備が整つていることを確認した後でなければ、航空機を出発させてはならない。
出発前確認については詳しくこちらにまとめていますのでご覧ください。
つまり、飛行機を安全に飛ばすために色々確認しましょうねというものです。
拘束している人がいる時、管制期間に報告(航空法73条の4の4項)
機長は、航空機を着陸させる場合において、第一項の規定に基づき拘束している者があるとき、又は同項の規定に基づき降機させようとする者があるときは、できる限り着陸前に、拘束又は降機の理由を示してその旨を着陸地の最寄りの航空交通管制機関に連絡しなければならない。
のちの機長の権限のとこで説明しますが、機内で安全阻害行為をしている人がいてその人を拘束で対処、降機させる時は、着陸地の最寄りの管制期間に連絡しようねということです。
安全阻害行為についてはまた別の記事で記載します。
危難の防止(航空法75条)
機長は、航空機の航行中、その航空機に急迫した危難が生じた場合には、旅客の救助及び地上又は水上の人又は物件に対する危難の防止に必要な手段を尽くさなければならない。
飛行機が操縦不能になったりしてもなるべく地上や水上の物件や人に当たらないよう密集してるところは避けて不時着したりなど人命に危険がある時や、航空機に重大な損傷があるときに機長がその危難を最小限にとどめるように行動する義務のことです。
報告の義務(航空法76条、76条の2)
機長は、次に掲げる事故が発生した場合には、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。ただし、機長が報告することができないときは、当該航空機の使用者が報告しなければならない。
一 航空機の墜落、衝突又は火災
二 航空機による人の死傷又は物件の損壊
三 航空機内にある者の死亡(国土交通省令で定めるものを除く。)又は行方不明
四 他の航空機との接触
五 その他国土交通省令で定める航空機に関する事故2 機長は、他の航空機について前項第一号の事故が発生したことを知つたときは、無線電信又は無線電話により知つたときを除いて、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。
3 機長は、飛行中航空保安施設の機能の障害その他の航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあると認められる国土交通省令で定める事態が発生したことを知つたときは、他からの通報により知つたときを除いて、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。
76条の2 機長は、航行中他の航空機との衝突又は接触のおそれがあつたと認めたときその他前条第一項各号に掲げる事故が発生するおそれがあると認められる国土交通省令で定める事態が発生したと認めたときは、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。
報告の義務に関してはまた別の記事で書きますがここでは
事故をした時、重大インシデントの時、異常事態があった時、異常接近があった時、高度を逸脱した時、鳥との衝突orニアミスした時に機長は事象を無線や書類、インターネットで報告しなくてはならないことを覚えといてください。
また、他の航空機が事故の場合も無線で知った時以外は報告する義務があります。
編隊飛行前の打ち合わせ(航空法84条2項)
航空機は、編隊で飛行する場合には、その機長は、これを行う前に、編隊の方法、航空機相互間の合図の方法その他国土交通省令で定める事項について打合せをしなければならない。
そもそも84条に記載があるように航空運送事業の航空機は国土交通大臣の許可がないと編隊飛行できないが、もし行う場合は色々打ち合わせをしてねということです。
到着の通知(航空法98条)
前条の規定により、飛行計画の承認を受け、又は飛行計画を通報した航空機の機長は、当該航空機が飛行計画で定めた飛行を終つたときは、遅滞なく国土交通大臣にその旨を通知しなければならない。
97条より飛行計画の承認を受けた航空機の機長は到着したら、航空交通管制機関への連絡やインターネットによる飛行計画等の取扱いサービスの利用電話による通報で知らせなくてはならないということです。
機長の権限
権限ということで、機長にだけ与えられた行使できる強い力でやって良いことになります。
航空機に乗り組んで職務を行う人の指揮監督(航空法73条)
機長(機長に事故があるときは、機長に代わつてその職務を行なうべきものとされている者。以下同じ。)は、当該航空機に乗り組んでその職務を行う者を指揮監督する。
航空機に乗り組む運航乗務員・客室乗務員を指揮監督する権限。
安全阻害行為の継続/反復を禁止する命令(航空法73条の4の5項)
機長は、航空機内にある者が、安全阻害行為等のうち、乗降口又は非常口の扉の開閉装置を正当な理由なく操作する行為、便所において喫煙する行為、航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為その他の行為であつて、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持のために特に禁止すべき行為として国土交通省令で定めるものをしたときは、その者に対し、国土交通省令で定めるところにより、当該行為を反復し、又は継続してはならない旨の命令をすることができる。
航空機の安全の保持、そのもの以外の者(乗客など)や財産の保護のために、安全阻害行為のうち航空法施行規則の164条の16で定める八つの行為に関しては継続・反復を禁止する命令を出すことができます。
詳しくはこちら拘束、安全阻害行為を抑止するための措置(航空法73条の4)
機長は、航空機内にある者が、離陸のため当該航空機のすべての乗降口が閉ざされた時から着陸の後降機のためこれらの乗降口のうちいずれかが開かれる時までに、安全阻害行為等をし、又はしようとしていると信ずるに足りる相当な理由があるときは、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持のために必要な限度で、その者に対し拘束その他安全阻害行為等を抑止するための措置(第五項の規定による命令を除く。)をとり、又はその者を降機させることができる。
乗客が安全阻害行為をした場合、拘束を含む適切な措置をとる権限。継続、反復を禁止する命令を無視して続けた場合などに拘束など抑止措置をします。
もし拘束をした場合は機長の義務で管制機関に通報しなくてはなりません。
危難の場合の措置(航空法74条)
機長は、航空機又は旅客の危難が生じた場合又は危難が生ずるおそれがあると認める場合は、航空機内にある旅客に対し、避難の方法その他安全のため必要な事項(機長が前条第一項の措置をとることに対する必要な援助を除く。)について命令をすることができる。
義務の航空法75条の危難の防止と紛らわしいですが、これは危難が生じた際や生じる恐れがあるときに、機内の旅客に避難などを命令できる権利です。
75条のものは、危難そのものを防止するもので、74条は危難の状態の時に旅客に安全措置を命令できることです。
まとめ
74条、75条の危難の防止と危難の場合の措置。
73条の中の安全阻害行為に対する対応と、その後の報告。
この辺が紛らわしい部分になりますがしっかり覚えて試験に臨みましょう。
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