管制圏が設定されていない空港等において、航空交通の安全を確保するために国土交通大臣によって指定される空域です。情報圏では、何ができるのか、何が行われているのか理解していきましょう。
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情報圏の定義
航空法第2条第14項による定義
航空法第2条第14項
前項に規定する空港等以外の国土交通大臣が告示で指定する空港等及びその付近の上空の空域であつて、空港等及びその上空における航空交通の安全のために国土交通大臣が告示で指定するものをいう。
前項に規定する空港とは2条の13項で定義されている管制圏のある空港を指しています。
管制圏のある空港以外で告示で指定する空港+その上空の空域が情報圏になります。
告示には情報圏に指定されている、空域が記載されています。
クラスE
日本において情報圏の空港はクラスDに分類されます。また情報圏においては飛行場対空援助業務が提供されています。
VFR | IFR | |
管制間隔 | 設定されないが交通情報が提供される | IFR機同士に設定 |
速度制限 | ー | ー |
管制許可 | 不要 | 必要 |
無線通信要件 | 双方向 | 双方向 |
最低気象条件 | なし | VMC |
管制間隔に関して、SVFR機がいるならば、IFRとSVFRの間にも管制間隔は設定される。
情報圏を離着陸するIFRの航空機は管制指示、管制許可を飛行場対空援助業務を行う機関(レディオ)を通じて提供される。
飛行場対空援助業務とは
AIP GEN3.3に記載あり。
空港及びその周辺を航行する航空機に対して、無線を用いて航行に必要な情報の提供や管制業務を行う機関と航空機との間の管制上必要な通報の伝達等を行う業務です。
主な業務内容
- 飛行場周辺の航空交通情報の提供
- 飛行場の滑走路状態に関する情報提供
- 飛行場の気象情報の提供
- IFR機への管制承認の伝達
つまり管制許可や管制指示をあくまで伝えたり、情報を教えてくれるということです。
飛行場対空援助業務の方法
この飛行場対空援助業務を実施する方法は2種類あります。
①現地配置型
- 空港に配置された航空管制運航情報官が管制塔から情報提供を実施する形態
- いわゆる「レディオ空港」での業務
- 基本的に情報圏の空港はこれに該当。
② リモート型
- カメラ映像を用いて拠点となる官署から遠隔にて情報提供を実施する形態
- 「リモート空港」での業務
- 360度カメラなどを用いて、遠隔地から航空管制運航情報官が現地映像を見ながら業務を行う
- 能登、対馬、種子島など
現地配置型のものでも、災害や機器障害などによって業務が行うことができない場合は他の機関が飛行場対空援助業務を行うことになります。
空港ごとにどの機関がやるかはAIP GEN3.3に記載があるので確認してください。

情報圏の範囲
情報圏の範囲は、基本的には管制圏と同様に空港の中心と呼ばれる空港標点から半径9km(5mile)高さが通常の民間空港なら3000ft AGLです。
具体的には告示で範囲が指定されています。
装備しなくてはいけないもの
航空法施行規則144条
法第六十条の規定により、管制区、管制圏、情報圏又は民間訓練試験空域を航行する航空機に装備しなければならない装置は、次の各号に掲げる場合に応じ、それぞれ、当該各号に掲げる装置であつて、当該各号に掲げる数量以上のものとする。
一 管制区又は管制圏を航行する場合 いかなるときにおいても航空交通管制機関と連絡することができる無線電話 一(航空運送事業の用に供する最大離陸重量が五千七百キログラムを超える飛行機にあつては、二)
二 管制区又は管制圏のうち、計器飛行方式又は有視界飛行方式の別に国土交通大臣が告示で指定する空域を当該空域の指定に係る飛行の方式により飛行する場合 四千九十六以上の応答符号を有し、かつ、モードAの質問電波又はモード三の質問電波に対して航空機の識別記号を応答する機能及びモードCの質問電波に対して航空機の高度を応答する機能を有する航空交通管制用自動応答装置 一
三 情報圏又は民間訓練試験空域を航行する場合(第二百二条の五第一項第一号又は第二項第一号に該当する場合を除く。) いかなるときにおいても航空交通管制機関又は当該空域における他の航空機の航行に関する情報(以下「航空交通情報」という。)を提供する機関と連絡することができる無線電話 一
情報圏を飛行する場合は無線電話のみ必須となります。トラポンは必要なし。
情報圏での情報の入手について
先ほど、情報圏では無線電話が必要なことを確認しました。
航空法96条の2
航空機は、航空交通情報圏又は民間訓練試験空域において航行を行う場合は、当該空域における他の航空機の航行に関する情報を入手するため、国土交通省令で定めるところにより国土交通大臣に連絡した上、航行を行わなければならない。ただし、前条第一項の規定による指示に従つている場合又は連絡することが困難な場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
2 航空機は、次に掲げる航行を行つている間は、前項の規定による情報を聴取しなければならない。ただし、前条第一項の規定による指示に従つている場合又は聴取することが困難な場合として国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
一 航空交通情報圏における計器飛行方式による航行
二 民間訓練試験空域における第九十五条の三の国土交通省令で定める飛行
3 国土交通大臣は、航空交通情報圏又は民間訓練試験空域ごとに、前二項の規定による規制が適用される時間を告示で指定することができる。
情報圏を航行する時は連絡、すなわちコンタクトしなくてはならない。
また情報圏をIFRで飛行する場合は情報をしっかり聴取しなくてはならない。(VFRでもしっかり聞くべきではある)
情報圏の規制が適用される時間を指定している告示に関しては見当たらないため、XのDMまたはお問い合わせフォームから教えてくれると助かります。
航空法施行規則202条の4
航空機は、法第九十六条の二第一項(法第九十六条第六項の規定により準用する場合を含む。)の規定により、管制圏、情報圏又は民間訓練試験空域において航行を行う場合は、それぞれの空域ごとに国土交通大臣が告示で定める航空交通情報の提供に関する業務を行う機関に連絡しなければならない。
情報圏での最低気象条件
情報圏を飛行する際のVFRの最低気象条件は航空法施行規則5条より、以下のようになっています。
項目 | VFR | SVFR |
---|---|---|
飛行視程 | 5,000m以上 | 1,500m以上 |
雲からの距離(水平) | 1,500m以上 | 雲から離れて |
雲からの距離(垂直) | 上方150m以上 下方300m以上 | 雲から離れて |
地表面視認 | - | 継続視認 |
また、情報圏の空港からの離陸、着陸をする時は、別に最低気象条件が定められています。
また別にSVFR(特別有視界飛行方式)については記事を書きますが、情報圏ではSVFR機は1機までしか入れないと決まっています。
項目 | VFR |
地上視程 | 5000m以上 |
雲高 | 地表、水面から300m以上 |
管制圏を飛行する場合と最低気象条件は変わらないのでわりかし楽に覚えられるはずです。
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