特別有視界飛行方式(SVFR)とは

事業用操縦士

VFRで飛行している時に突然天気が悪くなったりしてVMCを維持できなくなってしまったらどうしましょう。計器飛行証明を持っていれば、IFRに切り替え飛行することができますが、持っていなければこの飛行方式を使い飛行場に着陸することが可能になります。

そんな救世主、特別有視界飛行方式(Special VFR)を理解していきましょう。

SVFRの航空法

航空法94条のただし書きのことがこのSVFRに該当します。

航空法94条

航空機は、計器気象状態においては、航空交通管制区、航空交通管制圏又は航空交通情報圏にあつては計器飛行方式により飛行しなければならず、その他の空域にあつては飛行してはならない。ただし、予測することができない急激な天候の悪化その他のやむを得ない事由がある場合又は国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。

IMC(計器気象状態)、すなわちbelow VMC ではIFRでしか飛行できないがやむを得ない事情、つまり天候がbelow VMCになった時は許可があれば飛行が可能である。

below VMCでも流石に雲の中など視界がゼロでは着陸には厳しいです。
そのため、SVFRを行うための最低気象条件が施行規則に記載されています。

航空法施行規則198条の4(SVFRの適用できる気象条件)

航空機は、法第九十四条ただし書の規定による許可を受けて管制区(特別管制空域及び第百九十八条の六に規定する高さ以上の空域を除く。第四号において同じ。)、管制圏(特別管制空域を除く。第五号において同じ。)又は情報圏を飛行するときは、次の各号に掲げる基準に従つて飛行しなければならない。ただし、当該許可に際しこれらの基準と異なる条件が付されたときは、この限りでない。

一 雲から離れて飛行すること。
二 飛行視程を千五百メートル以上に維持して飛行すること。
三 地表又は水面を引き続き視認できる状態で飛行すること。
四 管制区を飛行する場合にあつては、当該管制区の管制業務を行う機関と常時連絡を保つこと。
五 情報圏を飛行する場合又は法第九十六条第六項の告示で指定する時間において管制圏を飛行する場合にあつては、当該情報圏又は当該管制圏における航空交通情報の提供に関する業務を行う機関を経由して、当該情報圏又は当該管制圏における飛行について法第九十四条ただし書の規定による許可を行う機関と常時連絡を保つこと。

SVFRの気象条件

  • 雲から離れて飛行すること。
  • 飛行視程1500m以上に維持して飛行すること。
  • 地表又は水面を引き続き視認できる状態で飛行すること。

気象条件とは別に+で管制機関と常時連絡を保つ必要があります

まぁそりゃそうですよね。

視程要件に関しては飛行視程ですので、ATISなどで通報される地上視程とは異なることを注意してください。

→要するに、あくまでパイロット自身の判断で1500m以上かどうかを判断することになります。

でも地上視程が1500mを切ると着陸する時には飛行視程が1500mを切ることになるので結局地上視程を参考にしましょう。

SVFRを使用するときのATC要領

離陸するときのATC要領

パイロット
パイロット

…tower, JA…, request special VFR departure to south

ATC
ATC

JA…, cleared to leave control zone 5miles south of ,,,airport., maintain special VFR conditoions while in control zone

Take off clearanceは含まれないので別途もらう必要あり。

着陸するときのATC要領

パイロット
パイロット

…tower, JA…, request special VFR landing

JA…, cleared to enter control zone 5miles south of ,,,airport., maintain special VFR conditoions while in control zone report

landing clearanceは含まれないので別途もらう必要あり。

SVFR使用中に気象状態がさらに悪化した時はどうする

もし視程が1500mを切ったら出発機にはSVFRのクリアランスは出されない。
→そもそも飛ばさせない

到着の時に視程が1500m切った時は、

飛行視程を1500m以上を維持できる時は維持しながら情報圏、管制圏を離脱。

維持できないもしくは緊急の時はSVFRの着陸が許可される。

SVFRの注意点

私自身が個人的に感じる注意点です。

VFRで飛行をしている時に、below VMCになってしまうことはあります。

しかし、飛行する前にウェザーブリーフィングをして離陸空港、着陸空港、飛行するルートがVMCであることを確認、予想しているはずです。

そのためIMCほどではないがSVFRの基準を到着空港が満たしているから、や天気が回復傾向だけどいつから回復するかしっかり予想できないなどVMCが確保できないのに離陸することはないように気をつけましょう。

憶測で飛行すると予想より気象が悪化した時に取り返しがつかないことになりかねません。

あくまでSVFRは救済的な措置なので、これを頼りに飛行を決断することがないようにということです。(特にVFRで飛行する場合)

また慣れない空港ではSVFRは避けるようにしましょう。少ない飛行視程で雲の合間を縫って飛行するのはその土地に精通している必要があります。

着陸空港がIMCである時

個人的には着陸空港がIMCであった時は

  1. IRを所持しているならIFRに切り替え
  2. 待機→空港がVMCになるまで
  3. 代替空港に向かう→着陸空港がVMCになる見込みがない
  4. SVFRを使用→代替空港もIMC、代替空港まで燃料が足りない

の順で考えるのが妥当であると思います。

管制圏と情報圏でのSVFRの違い

管制圏と情報圏でSVFRの入域できる機体数が異なります。

それが情報圏では1機までになっています。

管制圏については制限が記載ありません。

このことは管制方式基準(Ⅱ)-3-1に記載があります。

管制方式基準には今まで記載してあることが書いてあるのでしっかり読むことをお勧めします。

またAIM-J 283, 434, 1048項にも記載があります。

まとめ

SVFR(特別有視界飛行方式)とはIMCでも一定の条件下であれば計器飛行方式IFRで飛行しなくても許される救済制度です。

SVFRの気象条件

  • 雲から離れて飛行すること。
  • 飛行視程1500m以上に維持して飛行すること。
  • 地表又は水面を引き続き視認できる状態で飛行すること。

また、試験では、飛行視程1500mって実際飛んでてどのくらいなの?や何が見えるのと聞かれることがあるので、その土地での基準をしっかり決めときましょう。

あくまで最終手段であることを留意しましょう。

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