今回は、計器飛行方式(IFR)で飛行している際に天候が良いときに使われる特別な進入方式、「ビジュアルアプローチ(視認進入)」と「コンタクトアプローチ(目視進入)」の違いについて、分かりやすく解説していきます。名前は似ていますが、その中身は全く異なるので、しっかり理解しましょう!
ビジュアルアプローチ(視認進入)とは
そもそもビジュアルアプローチとはなんなのか
ビジュアルアプローチとは、計器飛行方式(IFR)で飛行している航空機が、ILS(などの計器進入を行わずに、パイロットが空港や先行する航空機を自分の目で見て、視覚情報に基づいて滑走路へ進入・着陸する方法です。 これにより、計器進入経路をショートカットでき、飛行時間の短縮や燃料の節約、混雑する空港の交通を効率化するメリットがあります。
レーダー管制下にある空港で行われる。(管制方式基準Ⅰ- 10)
またパイロットの要求がなくても管制官からの指示でビジュアルアプローチは行える。
レーダー誘導をもらって空港の近くまで連れてってもらいます。
→その後空港や先行機を視認したらレーダー誘導を終了
→目視でトラパタに入り着陸するアプローチ
使用されるATC用語
expect for visual approach
vector for visual approach RWY16
vector to RWY16 traffic pattern
airport 9 o’clock 10miles, report airport in sight
cleared visual approach RWY16
traffic 10 o’clock 8miles B787, turning base for RWY16 visual approach, report traffic in sight
follow the traffic, cleared visual approach RWY16, contact tower
先行機がいる場合は先行機が見えたら、ビジュアルアプローチの許可が出る。
先行機がいない場合は、空港が見えたら許可が出る。
コンタクトアプローチ(目視進入)とは
一方、コンタクトアプローチは、計器進入方式が設定されている空港において、パイロットが計器進入のコースの一部または全部を省略し、空港を目視しながらより直接的なコースで進入・着陸する方法です。
レーダー管制下にない空港で行われる。(管制方式基準Ⅰ- 16)
またパイロットの要求でのみ許可される。
進入開始高度までは計器飛行で飛行する
→コンタクトアプローチの許可があれば、進入開始地点から目視で飛行場に進入していく
コンタクトアプローチとビジュアルアプローチの気象条件
ビジュアルアプローチ
①Ceiling > MVA 500ft
②ground VIS ≧ 5km
コンタクトアプローチ
飛行場、地上物標を視認できる。
①Ceiling > 進入開始高度
or
②flight VIS ≧ 1500m で安全に着陸できる確信がある。
のどちらかを満たす。
コンタクトアプローチとCancel IFR
天気が良いならIFR(計器飛行方式)をキャンセルして、VFR(有視界飛行方式)で飛べば自由に進入できるじゃないか。コンタクトアプローチと何が違うのか疑問に思う方もいらっしゃる思います。
コンタクトアプローチ:IFRのまま
- IFR飛行方式を維持したまま、計器進入の一部を省略する
- ATCとの管制関係は継続
- 他のIFR機との管制間隔はATCが確保
Cancel IFR:飛行方式を変更
- IFRからVFRに飛行方式を変更
- ATCとの管制関係は終了
- パイロット自身がすべての責任を負う
わざわざVFRにしないのはIFRのままであるメリットがあるからである。
メリットとしては
- 他のIFR機との管制間隔をとってくれるとこ。
- 天気の急変にすぐに対応できること
- 空港周辺の地形にしっかり精通している必要がある。
IFRをキャンセルすると、その保護がなくなり、他機との間隔維持はすべてパイロット自身の責任となります。特に交通量の多い空港周辺では、負担となります。
もしIFRをキャンセルしてVFRで飛行中に、急に雲の中に入ってしまったり、視程が悪化したりした場合、パイロットは自力で安全な空域を維持し、再度IFRのクリアランスを要求し直さなければなりません。
コンタクトアプローチ:天候は良いが、急な変化の可能性も考慮し、「IFRの保険」をかけつつ、効率的な近道をしたい場合の選択肢である。
一方でcancel IFRするメリットもあります。情報圏を飛行する際はIFR機は1機までと制約があります。そのためcancel IFRをしてVFRで飛行すると待機する必要がなくなり、情報圏に進入することができます。
特殊なビジュアルアプローチ CVA について
ビジュアルアプローチの一種にCVA(経路指定視認進入)というものがあります。
これは普通の計器飛行のように定められたルート、高度を守りながら、地上の物標を見て行う特殊なビジュアルアプローチのことです。
現在は羽田空港と鹿児島空港にあります。(HIGHWAY VISUAL RWY34R)(KINKO VISUAL RWY34)


交通量の多い空港では普通のビジュアルアプローチを行うと飛行経路がバラバラになり、管制官が交通整理をするのが非常に困難になります。CVAによって全機の進入経路を「一本化」することで、交通の流れが予測可能になり、航空機同士の間隔を効率的に詰めることができ、空港全体の処理能力が向上します。
またノイズアベイトメントの目的もあります。住宅地の上空を飛ばないようなルートに設定されています。



コメント