なぜ灯火カテゴリーで最低気象条件が変わるのか
航空灯火は悪天候時にパイロットが滑走路を視認するための重要な設備です。灯火の設備が充実しているほど、視程が悪い状況でも安全に着陸できるため、使用している灯火が少ないとその分最低気象条件が厳しくなります。
灯火が充実 → 視程条件が緩和(より厳しい気象でも着陸可能)
灯火が不十分 → 視程条件が厳格化(より良い気象が必要)
影響を受ける進入方式
灯火カテゴリーによって最低気象条件が変化するのは以下の進入方式になります。
CAT-I 精密進入
非精密進入
CAT-II / CAT-III 精密進入は灯火要件が厳格に固定されているため、灯火カテゴリーによる条件変化はありません。
最低気象条件についてはこちら
航空灯火の4カテゴリー
航空灯火は進入灯の長さを基準に4つのカテゴリーに分類されます。
| カテゴリー | 構成 | 進入灯の長さ |
| フル | 滑走路中心線標識+進入灯+滑走路灯+滑走路末端灯 | 720m以上 |
| インターミディエット | 滑走路中心線標識+進入灯+滑走路灯+滑走路末端灯 | 420m以上719m以下 |
| ベーシック | 滑走路中心線標識+進入灯+滑走路灯+滑走路末端灯 | 420m未満 |
| 進入灯などなし | ベーシックも満たさない場合 |

どの滑走路も四つのどれかに分類されます。

福島空港を例に出すと、RWY01はPALSが900m、滑走路中心線標識、滑走路灯、滑走路末端灯があるので→FULL
RWY19はSALSが420m、滑走路中心線標識、滑走路灯、滑走路末端灯があるので→Intermidiate
のように分けられます。
灯火カテゴリーが最低気象条件に与える影響
CAT1

福島空港RWY01はFULLファシリティです。その中で、RTZL(接地帯灯)とRCLL(滑走路中心線灯)が使用可能であれば、DHが200ftの場合、要求される視程が550mになります。
→実際の福島空港ILSRWY01のチャートを見ると、DHが200ftのためRVRが550mになっていることがわかります。

そのため、もしRTZLかRCLLが故障しているということがNOTAMに記載されていれば、最低気象条件が変更され、550m→750mになります。
NOTAMには、最低気象条件の変更については記載がないので、自分でしっかり確認して、最低気象条件を守りましょう。
非精密進入
CAT1とは異なり、航空機区分とMDHと航空灯火カテゴリーによって視程が決まります。


福島空港のRWY19はintermidiateファシリティです。
→実際のVOR RWY19のチャートを見てみると航空機区分AではMDHが341ftのためCMVが1200mということがわかります。

もし進入路灯故障して進入灯の有効距離が短くなり、300mになってしまった場合はベーシックファシリティとなり、CMVが1300mになります。
これもNOTAMでしっかり確認して最低気象条件を守りましょう。
航空機区分について(補足)
航空機区分(Aircraft Category / Approach Category)とは、計器進入を実施する航空機を進入速度に基づいて分類したもので、A、B、C、D、E、Hの6つのカテゴリーに分けられます。
航空機区分はVat(滑走路末端通過速度)によって決定されます。
Vat = 滑走路進入端(Threshold)を通過する際の指示対気速度(IAS)
Vatは以下のいずれか大きい方を使用します:
①Vso × 1.3
Vso: フラップを着陸位置にした場合の失速速度
②Vs1g × 1.23
Vs1g: 所定の形態(着陸形態)における失速速度
このVatの速度によってカテゴリーが分類されます。
A:Vatは91kt未満
B:Vatは91kt-121kt未満
C:Vatは121kt-141kt未満
D:Vatは141kt-166kt未満
E:Vatは166kt-211kt未満
H:ヘリコプター
よくある質問
Q1: なぜ進入灯の長さで最低気象条件が変わるのか?
A: 進入灯が長いほど、パイロットは早い段階で滑走路を視認でき、正確な進入パスを維持しやすくなります。fullファシリティの場合、滑走路の約900 m手前から灯火が視認できるため、視程が悪くても安全に進入できます。
Q2: RCLL(滑走路中心線灯)の有無でなぜRVRが200 m変わるのか?
A: RCLLは滑走路中心に設置された灯火で、接地後の滑走方向の維持に不可欠です。視程が悪い場合、RCLLがないと滑走路中心を維持するのが困難になるため、より良い視程条件が要求されます。
Q4: CMV換算は灯火カテゴリーに関係するか?
A: はい、関係します。CMV換算係数は以下のように灯火運用状況で変わります:

NOTAMで進入灯が停止している場合、CMV換算係数も変更する必要があります。
Q5: アプローチチャートに記載されている最低気象条件は常に正しいか?
A: いいえ、常に正しいとは限りません。アプローチチャートに記載されている最低気象条件は、すべての灯火が正常に運用されている前提です。NOTAMで灯火の運用停止がある場合、パイロット自身が最低気象条件を再計算する必要があります。


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