COSPAS-SARSATは、世界45カ国が参加する国際的な政府間組織が運営する「衛星支援捜索救助システム」です。本部はカナダのモントリオールにあり、1982年の運用開始以来、48,000名以上の人命救助に貢献しています。
三つの異なる特性を持つ衛星群があります。その3種類の衛星群を利用して素早くELTの発信している航空機を見つけることができます。
- LEOSAR(Low-altitude Earth Orbit Search and Rescue)低軌道衛星システム
- GEOSAR(Geostationary Search and Rescue)静止衛星システム
- MEOSAR(Medium-altitude Earth Orbit Search and Rescue)中軌道衛星システム
以上の三つの衛星群を組み合わせて航空機のELTからの通信を受信します。
ELTにはELT本体にGPSを搭載しているものと搭載していないものがあります。
そのためGPSを搭載していないものは位置を割り出すにはドップラー効果や複数の衛星を使用し、受信までの時間差を利用する必要があります。
それを踏まえて三つの衛星群の特徴を見ていきましょう。
LEOSAR
LEOSAR(Low-altitude Earth Orbit Search and Rescue)低軌道衛星システム
低軌道を周回する衛星です。ドップラー効果で航空機の位置を特定します。
周回している衛星のため衛星が遭難地点の上空を通過する時にのみ受信可能です。
基本仕様
- 衛星高度: 800~1,000km
- 衛星数: 4機運用中(気象衛星に搭載)
- 軌道: 極軌道(南北に周回)
- 周回時間: 約100分で地球一周
仕組み
- 衛星が地球を南北に周回しながら遭難信号を受信
- ドップラー効果を利用して位置を特定
- 衛星が遭難地点の上空を通過する時のみ受信可能

GEOSAR
GEOSAR(Geostationary Search and Rescue)静止衛星システム
静止衛星のためドップラー効果で位置を特定できないため、GPS搭載型のELTでなければ遭難機の位置情報を特定できないです。
基本仕様
- 衛星高度: 約36,000km(静止軌道)
- 特徴: 地球に対して固定位置を維持
- カバー範囲: 北極・南極を除く全地球
仕組み
- 静止軌道から常時地球を監視
- 遭難信号の中継機能が主な役割
- ドップラー効果が使えないため位置測定は困難
MEOSAR
MEOSAR(Medium-altitude Earth Orbit Search and Rescue)中軌道衛星システム
複数の衛星が遭難機の上空に常時配置されている状況になっているため、ELTの電波の受信の時間差で位置を割り出すことが可能になっている。もちろんプラスでドップラー効果でも位置を割り出せる。
基本仕様
- 衛星高度: 約20,000km
- 衛星数: 40機以上運用中(将来的に70機以上)
- システム: GPS、GLONASS、ガリレオ、北斗などの測位衛星に搭載
仕組み
- 複数の衛星が常時遭難地点上空に配置
- ドップラー効果+時間差測定(GPSと同じ原理)で位置特定
- LEOSARの7倍のカバー範囲

衛星がELTの電波を受信した後
衛星から地上に信号を送ります。その受信する施設をLUT(local User Terminal 遭難信号地上受信局)といいます。
→その情報を分析したのちMCC(Mission Control Center)に情報を集約します。
日本では霞ヶ関にある海上保安庁本庁。
→航空機の捜索救難の本部である救難調整本部 RCC (Rescue Coordination Center)に情報が送られ、捜索、救助活動が始動します。
日本では羽田空港。

EPIRBとはELTの船舶verのやつなので、ELTと読み替えてください。
システムは全く同じです。
海上保安庁のコスパス・サーサットシステムの資料を添付しておきます。
上記の画像もこちらから引用しました。



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